
「プロセスケミストって、結局何をする仕事?」
化学系の学生や、製薬会社への就職を考えている人の中には、こんな疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
僕自身、現在は製薬会社でプロセスケミストとして働いています。
ただ、学生の頃は「プロセスケミスト」という仕事が具体的にどんなものなのか、あまりイメージできていませんでした。
「有機合成をする仕事なのかな?」
最初はそのくらいの認識でした。
実際に働いてみると、有機合成をすることはもちろんあります。
しかし、プロセスケミストの仕事は、単に化合物を作るだけではありません。
この記事では、プロセスケミストにあまり馴染みがない方に向けて、できるだけ簡単に仕事内容を紹介します。
プロセスケミストとは?
一言でいうと、プロセスケミストは、
「化学反応を、実際の製造につなげる仕事」
です。
医薬品の研究開発では、最初から大量に製造できる方法が決まっているわけではありません。
研究の中で新しい化合物が見つかったとしても、
「じゃあ、どうやってたくさん作るの?」
という問題が出てきます。
そこでプロセスケミストの出番です。
- どうすれば効率よく作れるのか。
- どうすれば不純物を減らせるのか。
- 安全に作るにはどうすればいいのか。
- 実際の製造でも安定して作れるのか。
こうしたことを考えながら、製造方法をより良いものにしていきます。
つまり、
「作れる」から「安定して作れる」へ変えていく仕事
と考えると、イメージしやすいと思います。
実際にはどんな仕事をするの?
プロセスケミストの仕事には、実験も多くあります。
例えば、ある化合物を作るために、
- 「どの試薬を使うか」
- 「どの温度で反応させるか」
- 「どのくらいの時間反応させるか」
などを検討します。
実験をしたら、分析結果を確認します。
目的の化合物ができているのか。
不純物はどのくらいあるのか。
前回の実験と何が違うのか。
結果を確認して、次の実験を考えます。
つまり、
実験 → 分析 → 考察 → 次の実験
というサイクルを繰り返していくイメージです。
ただし、「目的物ができたから成功」というわけではありません。
例えば、研究室で一度だけうまくいった反応でも、製造する量を増やしたら同じようにいかないことがあります。
そのため、
- 「もっと安定して作れる条件はないか?」
- 「大量にしても問題ないか?」
- 「安全に実施できるか?」
といったことまで考える必要があります。
大学の研究とは何が違う?
化学系の学生なら、
「それって大学院の有機合成研究と同じじゃない?」
と思うかもしれません。
実際、共通する部分はかなりあります。
反応を考えて、実験して、分析して、結果を考察する。
この流れは研究室と同じです。
一方で、大きな違いはゴールです。
大学の研究では、新しい反応を見つけたり、新しい知見を得たりすることが目的になります。
プロセスケミストの場合は、
「この方法を実際の製造に使えるか?」
という視点がより重要になります。
収率だけでなく、安全性、品質、コスト、操作のしやすさなど、さまざまなことを考えます。
ここが、プロセスケミストの面白いところでもあります。
プロセスケミストの面白さ
僕が仕事をしていて面白いと感じるのは、自分が考えた化学が、その先の製造につながっていくことです。
最初は小さな実験から始めても、条件を検討し、問題を解決しながら、少しずつ「実際に使える方法」に近づけていきます。
もちろん、実験が思うようにいかないこともあります。
「なぜ反応が進まないんだろう?」
「なぜ不純物が増えたんだろう?」
と悩むこともあります。
でも、原因を一つずつ探して、うまくいったときの達成感は大きいです。
化学が好きで、実験が好き。そして「なぜ?」と考えることが好き。
そんな人には、プロセスケミストは面白い仕事だと思います。
まとめ
プロセスケミストは、簡単に言えば、
「化学を実際の製造につなげる仕事」
です。
化合物を作るだけではなく、より効率的で、安全で、安定した製造方法を考えていきます。
大学や大学院で有機化学を研究している人にとって、その経験を活かせる場面も多くあります。
僕自身、実際に仕事を始めてから「学生の頃にもっとプロセスケミストについて知っておきたかった」と感じることが増えました。
このブログでは、そんな学生時代の自分に向けるつもりで、プロセスケミストの仕事についてできるだけ分かりやすく紹介していきます。
次回は、**「プロセスケミストの1日ってどんな感じ?」**というテーマで、実際の仕事の流れについて紹介します。

コメント