marumoです。「プロセスケミストとは」シリーズの第2回です。前回は仕事全体のイメージをお伝えしましたが、今回はよく混同されがちな「有機合成研究者(創薬研究職)」との違いを掘り下げます。
就活生時代の僕は、「化学系の研究職」という括りで両方をなんとなく同じものとして見ていました。ですが実際に働いてみると、同じ有機化学の知識を使う仕事でも、目的も評価軸も日々の動き方もかなり違うと感じています。
一番大きな違いは「ゴールの置き方」
創薬研究の有機合成研究者は、「薬になりうる新しい化合物を作り出すこと」がゴールです。無数の候補化合物を合成し、薬効や毒性を評価しながら、有望な化合物を絞り込んでいきます。まだ世の中にない構造を生み出す、いわば「0→1」の仕事です。
一方でプロセスケミストは、すでに「これを薬にする」と決まった化合物を、いかに安全に・安定して・大量に作るかを追求します。化合物そのものを生み出すのではなく、決まった化合物の「作り方」を磨き上げる、「1→100」の仕事です。
ポイント: 有機合成研究者は「化合物を見つける」仕事、プロセスケミストは「化合物を作れるようにする」仕事。同じ有機化学でも狙っているゴールが違います。
項目ごとに比較してみる
僕自身の経験や周囲の話を踏まえて、いくつかの観点で違いを整理してみます。
| 項目 | 有機合成研究者(創薬研究) | プロセスケミスト |
|---|---|---|
| 主な目的 | 薬効のある新規化合物の発見 | 決まった化合物の量産製法確立 |
| スケール感 | ミリグラム〜グラム単位 | グラム〜トン単位まで段階的に拡大 |
| 評価される力 | 新しい反応・構造展開のアイデア力 | 安全性・コスト・再現性を両立させる調整力 |
| 関わる相手 | 薬理・薬物動態など研究部門が中心 | 分析・品質保証・工場製造など幅広い部門 |
| 仕事のサイクル | 多数の化合物を並行して合成・評価 | ひとつの化合物の製法を段階的に深掘り |
とはいえ、線引きは会社によって曖昧なことも
ここまで対比する形で説明しましたが、実際の現場ではこの境界がきっちり分かれているわけではありません。会社の規模やフェーズによっては、研究職がある程度のスケールアップまで担当することもありますし、逆にプロセスケミストが製法検討の初期段階からルート提案に深く関わることもあります。
そのため就活で企業を見るときは、「研究職」「プロセス開発職」という肩書きだけで判断せず、実際の職務内容(配属後にどんな業務を担当するか)まで踏み込んで確認することをおすすめします。【ワンキャリア転職】
では実際の配属先やクチコミも確認できるので、判断材料の一つとして役立ちます。
まとめ
有機合成研究者は「新しい化合物を見つける」仕事、プロセスケミストは「決まった化合物を作れる形にする」仕事。同じ有機化学の知識を土台にしていても、ゴールも評価軸も日々の動き方も異なります。
次回は「プロセスケミストの1日のスケジュール」を、実際の1日の流れに沿って紹介する予定です。仕事のイメージをさらに具体的にしていきましょう。
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